温暖化による日本の植生の純一次生産量の変化

現在より地球の平均気温が5℃~9℃も低かった最終氷河期には現在の東日本以南の植生を代表する照葉樹林は、九州の南端にある種子島屋久島地区に細々と生きていたと報告されています、この時期大量の海水がヨーロッパ北米大陸上の巨大な氷床として蓄えられていたので、海水位は現在より約100m低く、広大な海岸平地が日本列島の周囲に現れていたようです、植生は現在北海道以北に広がる寒地型であった事が化石花粉の分析から知られています、20世紀半ばの植生は照葉樹林が35%、南冷温帯の広葉樹林20%と亜寒帯針葉樹林15%が続いています、21世紀末または22世紀前半の温暖化気候下では照葉樹林が60%を超え、これに南北冷温帯の落葉広葉樹林が続いています、現在北海道にある亜寒帯針葉樹林は急減して2%くらいになってしまいます、九州の沿岸地域を中心にして亜熱帯林が分布するようになります。これらの結果を用いて潜在的な純一次生産量を評価すると次のようになります。

  • 最終氷期:2億3200万トン乾物/年
  • 現在   :4億5400万ドン乾物/年
  • 温暖気候:5億6000万トン乾物/年

このように寒冷気候が卓越して純一次生産力の低い植生が日本列島全域で優越であった約二万年前には純一次生産量は現在は約2分の1であったと思われます、その後の自然温暖化により、屋久島や種子島そして南西諸島域に避寒していた照葉樹林は次第に北上すを開始し、20世紀後半には関東以西の平坦地に広がりました、21世紀末また22世紀前半に予想される2倍の二酸化炭素濃度の温暖気候下では、温暖多湿な気候を好む亜熱帯林と照葉樹林が国土の70%近くを覆い、潜在的な純一次生産量は現在より23%も多い5.6億トン乾物/年になる可能性があります。

しかし日本列島の野山は人間活動によって寸断されていて、植物種が植生気候帯の北上に応じて自由に移動するには多く障壁大都市や工業地帯などが待ち構えています、一方二万年前までの氷期の寒冷時に東日本から西日本にまで広がっていた冷涼気候を好む植物種の多くは、その後の温暖化につれ1000mを越える山地に残存しています、しかし温暖化の進むにつれ生育条件の劣化と下方からの植物の進出によって山頂へと追い詰められ、その多くが滅び去ると心配されています、西日本の1000m近い山々に分布しているブナ林などがそうです。