温暖化は日本の植生にどんな作用をもたらすか

モンスーン気候帯に位置している日本列島は、北海道の一部と山岳地を除いて、さまざまな森林植生の発達する場所です、しかし北海道と本州中部、そして九州を比べて見ると、森林の姿がかなり違っています、すなわち北日本や東日本の山地には冬に葉を落とす樹木が多く、西日本には一年中青々と葉を茂らせた樹木が多く見られます。

これは、各地の植生気候に適応して生き延びる植物が生長し森林を作るためです、日本の森林生態学では各地の植生気候の豊かさを評価するのに暖かさの指数が良く用いられます。これは月平均気温から5℃引いた温度を、月平均気温が5℃以上の月について積算したものです、降水量の多い東アジアの自然植生の分布はこの暖かさり指数を用いるとかなりよく説明できます。

環境庁の臣なった緑の国勢調査と気象庁のメッシュ気候データ、寒さに強いハイマツは暖かさの指数が月間0度~45度の間にあり、温暖な気候を好むカシ類は月間80度以上の暖かさの指数をもつ地域に分布しています、気候の温暖化が進むと当然各地の気温が上昇し、それに伴って暖かさの指数も次第に増大します

それでは気候の温暖化につれて暖かさの指数はどれくらい大きくなるのでしょうか、日本各地の気象データの分布から現在の温暖化予想では、地球平均気温は今世紀半ばに1.5度~2.0度、今世紀末に3.0度~4.0度現在より高くなるといわれています。

上記のような上昇が今世紀末までに生ずると、日本各地の暖かさの指数も大幅に大きくなり、それに応じて植生気候帯もより北へ、そして高い地点へと静かに移動します、いま地球平均気温が今世紀末までに3度~4度上昇するという気候シナリオを用いて、温暖化による日本列島の植生気候帯の移動を調べると日本列島の植生気候帯は、暖かさの指数を用いると、①寒冷な北方針葉樹林②冷涼な冷温帯林③やや温暖な北部暖温帯林④かなり温暖な南部暖温帯林⑤ガジュマル化などの茂る亜熱帯林の5つに分けられます、1980年代以前の被温暖化気象条件では北海道の東半分と東北中部地方の山岳部には、エゾマツやトドマツなどの北方針葉樹とダケカンバなどの落葉樹が分布しています、北海道の西半分と東北地方の冷温帯林にはブナやエゾイタヤなどの代表的な落葉広葉樹が見られます、85/100度月以上の南北両暖温帯には、東日本南日本の平地植生代表する多くの常緑広葉樹が分布し、一年を通じて緑に輝く葉を茂らせています、それゆえこの林は照葉樹林と呼ばれ日本文化の形成に深く関係していると言われています。

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