昆虫類の生息域の変化

生物季節とは少し違いますが、注目すべき減少は最近における昆虫類の生息域の北への広がりです、これまで台風の強風に運ばれて南方系のトンボや蝶が日本でも発見され一部の昆虫マニアを喜ばせていました、しかし20世紀半ばから暖地系の蝶やセミが北進を続けており、クマゼミやナガサキアゲハは、すでに箱根を越えて関東平野まで進出してきています。

真っ黒な大きな蝶ナガサキアゲハは1940年代までは九州の暖地で主に観察されていました、20世紀半ばから進行する進行する温暖化を背景に、ナガサキアゲハは次々と北へ北上しと移動し、1980年代には近畿地方に達しました、そして2000年には関東平野にその大きい黒い姿を現しました、この間に日本の平均気温は1.5度も上昇しています、この温暖化がナガサキアゲハの生息域の緩やかな地すべり的な北進を引き起こしたものと思われます。

昆虫類の生息域は広がりには、気象条件の変化だけでなく、幼虫の餌となる植物種の広がりも関係しています、柑橘類の栽培回路と温暖化を利用して、ナガサキアゲハは約半世紀をかけて九州から関東地方へ進出したと考えられています。同様なことが1970年までは宮崎鹿児島両県にしかいなかったタテハモドキでも生ずると予想されます、年平均気温が20世紀末より1.0度~1.5度上昇する今世紀半ばには九州暖地の蝶タテハモドキが公園で見られる可能性が濃厚です。

このほかに数多くの昆虫類が温暖化につれて、あるものは九州や沖縄から、あるものは更に南の地から気流に乗って、または餌植物の回廊を伝って日本列島へと広がっていきます、新参昆虫の生息、定着につれ、土着していた種類は更に北へ追われたり、衰退を強いられていると思われます、蝶の様なマニアを喜ばせる昆虫類の北進はあまり問題ないと思われますが、感染症のウイルスや病原菌を媒介する昆虫類の北進は公衆衛生にとって大問題です。