世界の陸上植生群の生産量や分布の移動など

陸地全体の植物生産量は各植生群の生産量とその占有面積とが与えられると評価できます、人工衛星の画像情報や植物群落の光合成活動に基礎をおく生態系モデル、生産力と気候条件との統計モデルの利用など多くの方法が用いられています、1950年代ごろから2000年にかけて多くの研究が発表されていますが評価値のバラつきはまだかなり大きいようです。バラつきを無視して陸上の自然植生の平均純一次生産量を求めると下記のようになります・

陸上植生の純一次生産量 = 1190 ± 107億トン乾物/年

これが人類を含めての陸上の全生物の生存エネルギーの源です、森林や草原の姿からわかるように、植物は幹、茎、枝、根、などとして多量の植物体を蓄積しており、これはバイオマスと呼ばれています、その量は純一次生産量の約10倍と推定されています、さらに植生地の土壌内にはそこの現存量の二倍強の炭素が有機炭素として蓄えられています。

1トン乾物 ≒ 0.5トン炭素

それゆえ、陸上植生地には1兆8000億トンの炭素が生物活動の結果として蓄えられていることになります、この巨大な炭素蓄積量は陸上植生地が生存エネルギーの源であるばかりでなく、地球を包む大気の炭素バランスにとって圧倒的な影響力を持っている事を示しています。

今世紀を通じて大気中の二酸化炭素は上昇し続け、気温温暖化はさらに進行するでしょう、これらは自然植生の光合成活動を活発化させ純一次生産力を高めると考えられます、この生産力向上には、次の3つが寄与するといわれています。

  1. 高濃度二酸化炭素大気の肥料効果
  2. 温暖化による植物の活動期間の延長
  3. 大気からの効果窒素化合物の肥料効果

右に上げた3つの効果により今世紀末には陸上植生の一次生産総量は、現在より22~25%増大する可能性があるようです。

一方、古く約2万年~1.5万年前から始まった自然的な地球温暖化からわかる様に、温暖化により地球上の植生気候帯は南北または高山側へ移動するものと思われます、植物は生存場所で花を咲かせ種子をつけます、この種子が風や水の流れ、また動物や鳥を介して広がり、そこで発芽して成長して種子を生産する、という過程を繰り返しながら分布を広げます、それゆえ植物の移動は植生気候帯の移動より遅れるのが普通です。

泥炭地や地底蓄積土内の化石花粉の分析から、種子が風で分布されるマツやカエデでも、分布の広がり速度は今世紀に予想される温暖化に伴う植生気候帯移動速度の3分の1から5分の1にすぎません、大きな木の実を付ける樹種の移動速度は植生気候帯のそれの10分の1ほどの大きさです、このため多くの健全な森林の活性が低下し、また実生の生長も大幅に抑制されると心配されています。