温暖化の生態系への影響

都会に住んでいると四季の流れを忘れがちですが、一歩郊外に出れば水田や畑が広がり、その先には緑豊かな里山に恵まれます。季節の移り変わりにつれて、作物と木々の装いも移り変わります、それにつれて小鳥や昆虫も次の世代を残して消えてゆきます。

いかにも穏やかに見えるこの場面でも注意すると太陽からの日射エネルギーの絶え間ない流れと、それに乗った物質の循環に気づくことが出来ます、私達を含めて全ての生物同士と周囲の環境はエネルギーと物質の流れの糸で絡み合っています、このため生物と環境の各要素はそれぞれの場所で1つの有機体のように時間の流れの中で働いているのです。

降り注ぐ日射エネルギーを利用して緑色植物群は空中から吸収した二酸化炭素、地中から吸収した水分と無機養分を用いて、エネルギーに富んだ多くの光合成物質を作ってくれます、動物やわれわれ人類は緑の植物群の光合成物質の一部を食べて生きているのです。

生物の中には枯葉や死体、排泄物を食べて生きているものが多くいます、土壌中の動物や微生物がそうです、これらの生物は排泄物や枯葉などに残っている栄養を得て生きています、この過程で排泄物、死体、枯葉は完全に分解され、元の二酸化炭素、水、無機養分になってしまいます、その後これらの物質は植物に再び利用されます。

このように緑葉を持つ植物を起点とする各生物間の物質の流れは日射エネルギーを動力として、時間の流れの中で絶え間なく循環しています、日射エネルギーはそれぞれの段階で物質を循環させ、各生物を生かした後に、私達の目に感じない赤外線として宇宙に流れ去っていきます。

地球の各場所で絶え間なく展開されているエネルギーの流れと物質の循環を土台に、生物と循環とは各場所でひとつのまとまりとして動いているのです、古くはイギリスの生物学者アーサー・タンズリーは、このまとまりに生態系(エコシステム)という名前をつけました、これが現在多く使われているエコという言葉のルーツです。

生態系は下記の3つの生物群とそれを取り囲む環境から構成されています。

  1. 生産者
  2. 消費者
  3. 分解者

環境とこれらの生物群は、太陽に由来するエネルギーとそれに乗った物質の流れを通じて何重にも結ばれています、その様子が解き目の無い蜘蛛の巣に似ているので、生態系はシームレスといわれています、、そりゆえに生態系はそれを構成する個々の要素のために、個々の要素は生態系のために存在し相互に関連しながら生々流転しているのです。このように生態系を考えると生態系の存在は基盤であり、かつ影響要因である環境は次のように表現できます。

  1. 環境は生物が生命活動を営んで次世代を海疎だいる場所
  2. 環境は生物の存在に必要なエネルギーと物質が生産され蓄えられている場所
  3. 環境は生命活動に必要なエネルギー、物質、新陳代謝物が交換輸送される場所
  4. 環境は生物の遺体と新陳代謝排泄物が再利用のために分解処理される場所

この四つの働きが備わった環境の地域においてのみ生物群は豊かな生態系を反映させることが出来るのです、この事は寒冷な北極南極や乾ききった砂漠地帯の貧弱な生態系、熱帯地域の豊かな生態系を思い浮かべれば容易にわかります、世界各地にそれぞれ特徴の異なる生態系が発達しているのは気候、気象条件、地形が違うからです、気候・気象条件の違いは特に次の三つに大きく関係しています。

  1. 日射エネルギーの多少と季節変化
  2. 気温の高低と季節変化
  3. 降水量と多少の季節変化

日射エネルギーは別として気温と降水量は人為的な温暖化によって相当に変化することが予想されています、この変化は生態系のシームレスなつながりを伝わって生態系の全構成要素、特に植物の活動に大きな衝撃を与えるでしょう、その衝撃が各植生のもつ抵抗力を上回るならば植生は衰退を始めたり、新しい敵地への移動を余儀されるでしょう、高山や高緯度の寒冷地では植生の交代がすでに始まっていることが確認されています。