世界の穀類生産への余波

南西諸島の果実類や野菜類をウリミバエによる被害から守るために費やされた長年に渡る苦労から解るように、南方から飛来する害虫のの防除は国内の農業を守るために大きな意義を持っています。温暖化の進みの中で心配されている危険な害虫の飛来は、柑橘類に壊滅的な被害を与える細菌病を媒介するミカンキジラミです、東南アジアに広く分布しており、沖縄県全域でミカンキジラミの媒介による細菌病、2003年には奄美諸島の徳之島でこの病気への罹病株が発見され、より九州に近い屋久島でもミカンキジラミの存在が確認されています。そのほか温暖化に伴って各種のカメムシ類やダニ類の発生も多くなり、リンゴやニホンナシなどの生産被害が多くなっています。

以上のように今千年紀に進行すると思われる気候温暖化は、多くの果樹の気候的な適地の大幅な移動、開花時期の早期化、果実成長の促進、そして各種の害虫類の発生相の変化を通じて大きな影響を、豊かな食生活を支える果実生産を与える可能性があります。

世界の穀類生産への余波

私たちは毎年海外から穀類と大豆を合計3100万トン輸入して豊かな食生活を楽しんでいます、この輸入量は国内産の穀類と豆類の生産量の2.9倍という莫大な量です、それゆえ国内農業への温暖化の影響よりは外国、特にアメリカやカナダ、オーストラリア、ブラジルなどという大生産地の農業が温暖化によってどう影響されるかがより重要な問題です。

この問題について、最近多くの研究が発表されています、過去50年間を見ると穀類生産量は大体2.6%/年という速度で上昇し、1950年の約6億トンから2000年の21億トンまで増加しました、このような増産のおかげで、世界人口の増加にもかかわらず、一人当たりの穀類生産量も順調に増加しました、これから先もし気候温暖化がなければ、穀類生産量は約1.3%/年の速度で増大し、2080年には40億トンに達するというシナリオが出されています。

パリーらは、イギリスのハドレーセンターの気候モデルと穀類成長モデルを用いて、二酸化炭素濃度の上昇と気候温暖化による世界の穀類生産の変化を研究しています、それによると気候温暖化は中高緯度帯では穀類生産にプラスの影響を、低緯度帯ではマイナスの影響を与える可能性があるようです、世界全体として見ると、2080年には40億トンより4%減収し、世界の穀物価格は約45%高まり、飢餓人口が更に約1.3億人増えるというシナリオを発表しています、特にアフリカ諸国とラテンアメリカ諸国で影響が深刻になると指摘しています、気候温暖化の穀類生産へのマイナス影響の原因として彼らの次の3つの挙げています。

  • 低中緯度帯での作物の育成期間、特に登熱期間の短縮
  • 蒸発散量と降水不安定性の増加による土壌水分の低下、そして旱魃の多発
  • 花芽の形成に必要な冬の寒さの不足

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