果樹栽培への影響

20世紀半ばから暖冬が続き、そして最近における夏季の異常な高温の頻発によって日本の果樹栽培地はいろいろな障害を受けています、この気候変化は春が早く訪れ秋が初冬まで続くと表現できるほどです、このため代表的な柑橘類であるウンシュウミカンでは、ここ30年間に開花が約10日早まっています、また暖かい天気で遅くまで続くため、秋芽の生長が続き。着花数と結果数が減少していると報告されています、暖かい年が増加するにつれて、ミカン果実が果肉先熟型となり、表皮は青々としているのに十分食べられる状態になる現象が広く発生しています、また秋冬の温暖化につれミカンハウスでは加湿開始時期が次第に遅くなっています。

もうひとつの重要な果樹はリンゴ、ナシ、モモなどの落葉果樹です、これらの多くはバラ科に属する植物であり桜と同じで、低温な冬を越すために冬の休眠期、休眠を破るために一定の低温が必要である事など、複雑な気象要求を持っています、それゆえ気候温暖化の影響を受けやすい作物といえます、ここ20年~30年間の研究から休眠期の温暖化のために低温抵抗性の低下が生じ温暖化というのに厳寒期や早春の凍霜害が発生しやすくなっているようです、関東地方では、ニホンナシ、幸水の開花日が10年間に2.2~2.5日速まっていると報告されています、ミカンと同様に多くの落葉果樹でも果実の果肉先熟減少が多く発生するようになり、栽培農家を悩ませています、果皮はまだ未熟なのに果肉は十分に熟しており、果皮の成熟着色まで待つと、果肉はすでに過熟で蜜化しているのです。

このように20世紀半ばからの温暖化はすでに高品質の果実の生産に多くの障害を与えています、予想される今後の人為的な気候温暖化による我が国の果樹栽培への影響を明らかにするため、杉浦、横沢は気候変化メッシュデータを用いてウンシュウミカン栽培気候帯とリンゴ栽培気候帯の温暖化による北への移動を研究しています、現在は現気象平年値下での2060年は2060年代に予想される温暖気候下での果樹栽培気候帯を示しています。ウンシュウミカンは、現在東日本の太平洋岸の海岸低地や西日本の海岸低地で栽培されています、それら両日本の中山間地域は温度資源の不足のために、気候的に栽培不適地です。

種子島屋久島以南は温度資源が過剰なためにウンシュウミカンは栽培できなくなり、多くの晩柑類の栽培が主になります、温暖化が進むと予想される2060年代には、現在のウンシュウミカン適地は殆どが温度資源の過剰で不適地になるようです、そして気候的に適地は太平洋側で仙台平野、日本海側では庄内平野まで北上する可能性が有ります。

現在リンゴ栽培の気候的な適地は、北海道南部の平野域、東北地方の全域、そして東日本、西日本の中山間地点に分布しています、しかし東日本の太平洋岸の平野域には、温度資源の過剰による栽培不適地が広がっています、北海道の東半分と東北中部地方の山岳域を覗く東日本の全域が過剰な湿度資源になり、リンゴの栽培には不適地になります、気候的な不適地は東北地方の海岸平野に沿って北上し、太平洋側では仙台平野まで、日本海側では秋田平野にまで達しています、北海道は中央山岳地域を除いて全域が湿度的にはリンゴの栽培可能地になるようです・

上記の結果は、湿度資源の過不足だけに注目して、果樹の栽培地の移動を評価しています、しかし降水量の豊富な日本の気候帯では植生の分布は主として湿度資源に左右される事を考えると近未来の気候温暖化による果樹栽培のへの影響を調べる基礎として役立つものと思われます。

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