病害虫への余波

穀類作物(トウモロコシ、コムギ、イネなど)の耕地では、雑草種としてイネ科44種、カヤツリグサ科12種、キク科32種が発見されていますが、問題となる種は17種といわれています、イネや麦類の耕地雑草のうち、C4雑草(タイヌビエ、メヒシバ、カヤツリグサ、エノコログサなど)は、高い二酸化炭素濃度大気の条件下では競争力が低下すると予想されています、逆にトウモロコシやミレットなどのC4作物畑では、C3雑草の初期生長が早まり、C4作物との競合が強まるといわれています、そのほか温暖化につれて雑草種子の芽出しが早くなるので(2℃昇温で2週間~5週間早まる)多くの雑草で活動期間が今まで以上に長くなり、かつ成長が旺盛になるので、殆どの耕地で雑草防除は大変な作業になるものと思われます。

病害虫への余波

私たちにとって美味な野菜果実などは、多くの病原菌や害虫にとっても、この上ないご馳走です、特に温暖で湿気の多い気候は、それらの病害虫の増殖にとっても好適な環境です、気候温暖化が問題にならない時代でも、作物の病原生物と害虫類は大きな風の流れに乗って、また人間や生産物の移動に伴って侵入を繰り返してきました、ただ冬の低温によって絶滅したり、防疫作業で広がりが抑えられてきただけです。

最近の温暖化気候シナリオによると、21世紀末には関東平野に現在の南九州の気象環境が、南九州に現在の南西諸島の気象環境が現れる可能性があります、このような気象環境の変化は病害虫の発生を抑える冬の低温がやわらぎ、1年を通して活動が激しくなる事を意味しています、通年で温暖、多湿な熱帯、亜熱帯地域の作物病害数は、低温な冬を持つ温帯地域の2倍~10倍と多くなっています、同様な結論が害中数についても当てはまると思われます。

病害虫の広がりには、棲息可能な環境の広がりだけでなく、それらが取り付く作物(奇主作物)の存在も重要な要因です、たとえば今世紀末の温暖化(約4℃上昇)時には、ヨーロッパにおける種実用トウモロコシの栽培北限は、緯度にして10度(約1000km)北上する可能性があります、このためトウモロコシの重要害虫アワノメイガも、北緯60度近くまで北上すると予想されています。

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